みなさんはビタミンEに対してどんなイメージをおもちでしょうか?
妊活から妊娠中に必要な栄養素として欠かせないのがビタミンEです。
ビタミンEは別名「子宝ビタミン」とも呼ばれていますので何らかの関係があるのでしょうね。
ビタミンEは脂溶性のビタミンに分類され、トコフェロールとトコトリエノールの2種類に大別でき、さらにメチル基(CH3)の結合する位置や数によってα、β、γ、δの4種類の同族体があるので、合計8種類の天然ビタミンEがあります。
ビタミンEは油性のビタミンですので、空気酸化、熱、光、アルカリにはとても不安定になります。
よって、食事でビタミンEを摂取しようと思うなら、この性質については知っておきたいですね。
話を戻して、なぜ子宝ビタミンといわれるかというと、以前にもお話した活性酸素との関わりが多いようです。
つまりビタミンEには『抗酸化作用』があるのです。
抗酸化作用の強さはα>β>γ>δの順です(化学的には一番強いのはδですが・・・)。
実際は、内膜の活性酸素による血管障害を減少させ、結果、内膜の血流を増加させ、内膜を厚くします。
では、まずはビタミンEが発見された歴史です!
1920年にH.A. Mattillらがラットを脱脂粉乳だけで飼育すると、繁殖できなくなることか発見されました。
そして、ネズミの抗不妊性栄養因子として小麦麦芽から発見されました。
1922年にH.M. EvansとK.S. Bishopが既知のビタミンを含む飼料で飼育すると不妊症になるのに、これにレタスを与えると回復することを見いだし、この未知物質をXと命名しました。
この物質Xが脂溶性の化学物質であったことから、B.Sureによって1924年ビタミンE(tocopherol)と命名されました。
ちなみに、語源はTocos(子供を産む)+pher(力を与える)+ol(水酸基)=Tocopherolであり、H.M.Evansによって命名されました。
実際に細胞内のビタミンEの分布を調べると、細胞膜、ミトコンドリア膜、ミクロソーム膜、核膜など、様々な生体膜中にその大部分が存在しており、このことから、ビタミンEは膜脂質成分の抗酸化に働く物質であると考えられるようになってきました。
また、血清ビタミンE値の低下と、赤血球の過酸化水素溶血反応との間に有意な負の相関関係が認められ、必須脂肪酸の摂取が多くなるにつれ、血清ビタミンEは低下し、赤血球の過酸化水素溶血反応も亢進することが証明されました。
この結果からも、ビタミンEは抗酸化作用をもつことが予想されました。
実際にどのようにして活性酸素ができ、それを食い止めるのか見ていきましょう。
活性酸素が妊活に影響を及ぼす理由がわかりました。
詳しくは活性酸素の項目を見てください。
こちら
では、抗酸化に良いといわれるビタミンEはどのくらいの量がいいのでしょうか、また多く含まれている食品は何でしょうか?
日本人の食事摂取基準2015年版では、成人においてビタミンEの推奨量~上限は、成人男性6.5~900mg/日、女性6.0~700mg/日と言われています(※個人差があります)。
ちなみにビタミンEは、高齢者でも、加齢に伴いビタミンEの吸収や利用が低下しないといわれています。
小児においては、これまで健康な小児のビタミンEの目安量の推定に関するデータは見いだされていません。
ここで、ビタミンEを多く含む食品としてピックアップしてみました。
日本食品標準成分表2015によると(100g当たり)
アーモンドは、1粒1gで0.3mgのビタミンEがあり、20粒で約6.0㎎摂れます!
あん肝は、ティースプーン1杯11gで1.38mgのビタミンEがあり、6杯食べれば8.28mg摂れます!
筋子は、大さじ1杯17gで1.8mgのビタミンEがあり、4杯食べれば7.2mg摂れます!
鶏卵(全卵)は、Mサイズ1個50gで0.9mgのビタミンEがあり、7個食べれば6.3mg摂れます!
毎日の推奨量をクリアするとなると、アーモンドか、筋子がお手軽かもしれませんね。
ビタミンを摂るときに気になるのは過剰です。
過剰となるには一体、何粒アーモンドをとることになるのでしょうか・・・?
100粒で30㎎、1000粒で300mg・・・摂り過ぎは難しいですね。
その前にお腹が膨れて気持ち悪くなってしまいそうですよね!
筋子やあん肝も鶏卵も食べ過ぎるのは難しそうです。
現在、厚生労働省の定める(日本人の食事摂取基準)において、ビタミンEは過剰症はないといわれています。
一方、過剰症はとくに示されていませんが、ときに下痢や出血傾向の上昇などの症状が出る場合があります。
落花生を食べすぎるとお腹を下したり、鼻血が出るというあれです!
脂溶性ビタミンの場合、過剰症が気になるところですが、ビタミンEについては過剰に摂取しても輸送たんぱく質の働きにより吸収量がコントロールされているため、他の脂溶性ビタミンのように体内に蓄積されていくと言う事はありません。
なによりも、過剰症の報告もありません!
次に、欠乏症はどうでしょうか?
ヒトでは欠乏症はないと長く考えられてきましたが、胆汁うっ滞などによる脂肪吸収障害や、未熟児、遺伝性疾患(家族性ビタミンE単独欠損症)などの特殊な状況では、溶血性貧血や運動失調などの神経症状がみられます。
家族性ビタミンE単独欠損症は肝臓内のビタミンE輸送タンパク質に変異を示す疾患で、ビタミンEを体内に保持できないために血中濃度を正常に維持できず、神経障害(とくに脊髄後索に変性)をきたすものです。
動物におけるビタミン E 欠乏実験では、不妊以外に、脳軟化症、肝臓壊死、腎障害、溶血性貧血、筋ジストロフィーなどの症状を呈しました。
なので、過剰症より欠乏症の方が怖いということになります。
がんばって食事で摂取していこうとすればするほど、植物性より動物性のものが優れていること、なにより筋子が凄い!!!
私は大好きですので、毎日でも食べようかと思います。
最後に少し難しい生化学と生理作用です。
ビタミンEは、生体膜を構成する不飽和脂肪酸あるいは他の成分を『酸化障害』から防御するために、細胞膜のリン脂質二重層内に局在します。
ビタミンEにはα-,Β-, γ-,δ-トコフェロールとα-,Β-, γ-,δ-トコトリエノールの8つの同族体が天然に存在し、そのうち生体内ではα-トコフェロールが最も多く(他の同族体より10倍)存在します。
α-トコフェロールの中でも8つの立体異性体が存在し、RRR-α-トコフェロールが天然型と呼ばれ、最も生物活性が高いとされています。
栄養学的な使い方をする時はビタミンE、化学的な立場からはα-トコフェロールというのが一般的です。
身体の中にある90%がα-トコフェロールなので、ビタミンE=α-トコフェロールと認識していただいても大丈夫です。
摂取されたビタミンE同族体は、胆汁酸などによってミセル化された後、腸管からリンパ管を 経由して吸収されます。
ビタミンEの吸収率は51~86%と推定されていましたが、21%あるいは29% という報告もあり、現在のところビタミンEの人における正確な吸収率は不明です。
吸収されたビタミンE同族体は、キロミクロンに取り込まれ、リポプロテインリパーゼによりキロミクロンレムナントに変換された後、肝臓に取り込まれます。
また 、東京大学の井上教授らによって発見されたビタミンE輸送たんぱく質はα-tocopherol transfer protein (α-TTP)と名づけられました。
肝臓では、ビタミンE同族体のうちα-トコフェロールが優先的にα-トコフェロール輸送たんぱく質に結合し、他の同族体は肝細胞内で代謝されます。
肝細胞内をα-トコフェロール輸送たんぱく質により輸送されたα-トコフェロ ールは、VLDL(very low density lipoprotein)に取り込まれ、再度、血流中に移行します。
一方γ-トコフェロールは VLDLに取り込まれずにそのまま胆汁中に排出されるので、肝臓には分布されないということになります。
そして、その判断をα-TTPがによって行われていることが明らかになっています。
抗不妊作用も抗酸化作用に基づくことが、肝臓内でα-トコフェロールと結合するα-tocopherol transfer protein (α-TTP)の遺伝子をノックアウトしたマウスを用いた実験から確認されました。
生体膜や油脂中に存在する不飽和脂肪酸の過酸化を抑制することが主な作用で、食用油の劣化(酸化)を防ぐために α -トコフェロールが添加されています。
生体内でもフリーラジカルと呼ばれる反応性の高い化学物質によって生体膜やリポタンパク質中の脂質が酸化されるのをα-トコフェロールが防いでいます。
酸化リポタンパク質を貪食したマクロファージが動脈内皮下に沈着することによって粥状動脈硬化症が発症・進展することが知られ、α-トコフェロールはそのリポタンパク質の酸化を抑制して抗動脈硬化作用を示すとされています。
とても堅い話になってしまいましたがいずれにせよビタミンEが単独に細胞調節することが今後、解明されていくのではないでしょうか。
ここでビタミンEを摂取するときのポイントです!
よりビタミンEの吸収を上げるにはビタミンCが欠かせません。
相性のよい栄養素ですので、ビタミンEの効果を最大限に摂り込むために、妊活中はビタミンEとビタミンCは必ずセットで摂ることをおすすめします。
さらにビタミンEとビタミンCは、抗酸化作用をもつ要素なので、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助けます。
脂質ペルオキシラジカルをどのように安全なものに変化させるか下図をご覧ください。
これがビタミンEとビタミンCを同時に摂ったほうが良い理由です。
あまり年齢のことを言いたくはありませんが、昔に比べれば少しだけ高齢になっています。
高齢=酸化と考えるならば、抗酸化物質を摂ることしかありません。
そのためには妊活から妊娠中、質の良い体づくりのためにも、必ず補っておきたい成分です。
毎日の食べ合わせを考えるのも一苦労なので、必要な栄養素だけはサプリメントを活用すると簡易に摂取できます。
私自身、ビタミンEはサプリで摂っています。
抗酸化のために400IUを2粒、ビタミンC2000mgと一緒に摂っています。
IUってなんだろうと思われる方もいらっしゃいますね?
説明を入れておきます。
IUとは、量的尺度ではなく生物学的活性尺度である国際単位のことを言います。
IUからmgへの換算するには、α-トコフェロール1IUは、天然型の0.67mg、合成型の0.45mgに相当します。
私の飲んでいる400IUは天然型ですので、400IU×0.67mg×2粒=536mgということです。
ちなみに、ミリグラム(mg)からIUへの換算するには、α‐トコフェロール1mgは天然型の1.49 IU、合成型の2.22 IUに相当します。
100粒のアーモンドには30mgのα-トコフェロールが含まれるので、30㎎×1.49IU=44.7IUとなります。
さすがにアーモンドでは高濃度のビタミンEは摂取できないので、サプリにしています。
妊活を実践するうえで抗酸化(アンチエイジング)はしなくてはならないテーマです。
卵子が老化してはいけません。
妊活には若さを取り戻す必要があるのです。
銀のすずではその方に合ったサプリメントをおすすめしています。
いつでもご相談ください。
銀のすず